我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

プロとオタク


以前、他人様から「島村さんは格闘技オタクだよね」と言われたことがあります。が、ワタシが絶対になりたくないのは「オタク」です。

もちろんこやつには「馬鹿を言うな」と一喝しつつ、彼がなんで私を「オタク」と言ったのか聞いてみました。すると、答えがふるっていました。

「だって君は、普段から武道・格闘技の事ばっかり考えていて、やたらと詳しいじゃないか」と。

ある分野に並々ならぬ関心と知識を持っているのがオタクなら、職業人は皆オタクだよね。

大工さんは建築オタク。漁師さんは漁業オタク。農家の方は農業オタク・・・とまぁ無限にオタクが居ることになるわい。プロに「オタク」呼ばわりは失礼でしょう。お百姓さんは「農業のプロ」であって、「農業オタク」ではありえない。

私にとって「オタク」とは「興味の対象に異常に執着した結果、思考や行動が限定され、他者とのコミュニケーション能力および社会性が欠如した人間」であります。なお、ここでいう「他者」に「同好の士」は含まれません。

すなわち、趣味や価値観がちがう方々とも普通にコミュニケート出来る、そして趣味を通して世間を広げ、心豊かに生きられる人は「オタク」とは呼びません。まして、そのことを職業として社会と接していればなおさらです。大工さんは建築を通じ、漁師さんは漁業を通じ、お百姓さんは農業を・・・(以下略)通じて世の中に貢献されているので、じぇんじぇんオタクではございません。

かくいう私も、武道を通じて世間様になにがしかの「価値」を提供し、謝礼を頂いております。そして、また交友・交流は武道や格闘技の世界だけではございません。

もっと言えば、「武道の事ばっかり考える」ということの中には、武道の、なかんずく太気拳の社会的評価を高めたい、という「志」があり、そのために現代社会において武道人がどうすればお役に立てるか、を真剣に考えているわけです。単に稽古して強くなることだけを楽しみに生きているわけではない。

人を打ったり・蹴ったり・抑えたり・・・という武力を高める稽古は365日、文字通りの年中無休でやっています。武道を稽古する以上、そんなことは当たり前。

そのうえで、武道家である以上、社会の中での武道の在り方を考えてナンボです。格闘技レベルの強さをいくら突き詰めても、それを以て至上の価値とはしない(突き詰めない人間は武道人として論外ですが)。

稽古に来てくれる方はみな普通に仕事して家族を養う「普通の人」です。その方たちが、稽古を通じて充実した時間を過ごす。明日への活力をチャージする。そのために太気拳は、そして武道専従者としての私には何が出来るのか。どんな価値を提供できるのか。

その追究を通じて社会と共生してこそ、社会に受け入れられてこそ、逆に「武道バカ」「太気バカ」として武に専念して生きて行けるのだと、考える次第です。

本日は小山道場で19:30より澤井先生・大山総裁・高橋英充範士のご真影の御前で稽古。

明日は栃木市福心舘道場にて20:00より稽古いたします。


太気拳至誠塾栃木支部は、太気拳を学ぶ武術・武道の道場です。武道初心者はもちろんのこと、武術・武道・格闘技で伸び悩んでおられる中級者以上の方も歓迎いたします。また、護身・健身(健康づくり)目的の方の参加もお待ちしております。

太気拳とは>
 中国意拳の流れを汲む武術。創始者澤井健一が立禅と命名した「ただ立つだけ」の独特の鍛練法を核とする。

太気拳とは(詳細版):http://taikiken-tochigi.jp/taikiken/

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