我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

武術の核心

新規入会者の女性の話し。
面談の際中、つぎのような話がありました。

 1.護身術を学ぶために近所の格闘技のジムを見学したけれど、ピンとこなかった
 2.女性が武術の道場に来ることで、「やりにくい」「ペースが乱れる」ということはないだろうか


まず上記の1について。まず誤解無きように言っておくと、私は格闘技が大好きでリスペクトしています。
ですが、格闘技を学んでも女性の護身術としてはあまり有効ではないでしょう。なんとなれば、格闘技の方法論は「強くなって勝つ」ことだからです。この場合の強さとは格闘における技量・力量・精神力・・・などであり、これは持って生まれた天分によって伸び代は決まっています。格闘技の試合は、この力量を公平なルールにのっとり測定するものです。

護身術は理不尽な暴力に直面するのを避ける、もしくはその局面から脱出するために必要なものです。したがって、強くなって相手を圧倒する格闘技の方法論とは相容れないものです。そこを漠然とではあれ「格闘技はピンと来ない」と感じたのは凄いね。
ただし、「強くなること」自体は無意味ではなく、強くなることで選択肢は増えますので武術修行者も強さを培う稽古は不可欠です。これについては、いずれ論じたいと思います。

つづいて2ですね。女性が居るとやりにくくないか。思い遣りのあるご意見ですね。武術の強さは根底に「柔らかさ」が必要であると、私は考えています。岩をも貫く気力と、壊れ物を扱うような繊細さが同居せねばならない。

この「繊細さ」は単なる心がけレベルでは身に付きません。価値観が根底から変わらないと、出来ない。相手を壊さないで技を効かせる稽古は、この価値観の転換に不可欠なのです。相手を粗雑・粗略にあつかう人間は、最終的に武術には向かないと私は考えています。女性との稽古は、それを学ぶ良い機会ですね。女性は乱暴には扱えないですから。

そして、弱い者が身を護るために必要になるのが武術であれば、女性が身につけられてこそホンモノなのだと思います。ぶっちゃけ、これは指導者の資質が問われるポイントですね。価値観の転換こそは武術の核心の一つなのですが、そこが分からなければ「女性が居ると華やかでいいよね」的なノリのお花畑なお話で終わるわけです。

武術の核心とまでいうとピンと来ない方がいらっしゃるでしょうが・・・。無料のブログでそこまでは書けん!(^。^)y-.。o○



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