我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

例の件、後日譚

先日、友人に対して厳しいことを書かせて頂いたところ、ご本人より電話がありました。

稽古会の最中だったので話は手短に済ませましたが、私の箴言をまっすぐ受け止めてくれている様子。


友人には期待しているからああいう書き方をしたわけだし、基本的には初心を貫いて伸びてほしいというだけ。そもそも、私だって偉そうなことを言える人間じゃないからね。

それに、私は気が弱い人間だから、「このヤロー」とか言ってくる奴には“バッチ来い”だけど、「すみません」とか言われると、かえって恐縮しちゃうんだよなー。


大体、多少の失敗なんか誰にでもあるんだ。


私が尊敬する千葉周作先生も、「男は酒と女で失敗するくらいじゃないと、人情の機微というのはわからん」とおっしゃったとか。


これはまったくその通りだ。ただ失敗を繰り返すのも時期というものがある。社会に出て十何年も経ったら、その“旬”は過ぎて、次の世代を見守ってやる番だと、ワシャ、思うんだな。


今の世の中、“お子ちゃま”を美化する風習が根付いちゃったけれど、いい親父がいつまでもお子ちゃまぶって淀んでいるんじゃないよと、そう言いたいんだよ、俺は。

人の寿命は有限なんだから。

40になったら築いてきたモノを「どんがらガッシャン」するような時間はもう残されていない。私で言えば、澤井先生→高木先生へと連綿と受け継がれてきたことを受け継ぎ、口幅ったいようだが、発展させて行かなければならない。


そうじゃなかったらさ、親の財産食いつぶすだけのバカ息子だろ?ワシャ、武術の世界ではバカ息子にはなりたくないんよ。


そのために身体を掛けて、知恵を絞って稽古する。ツマランことで歩みを止めている時間は、ない。


それに、私は可愛げある“旬”の時期にたくさん失敗させて頂いた。美少年だったワシは可愛さゆえ皆さんに大目に見て頂いたと。おかげさんでさすがにここ数年はでかい失敗は減ったわけ。

だって紅顔の美少年ではなくなった40男の俺が、酒や女で大失敗しても一つも可愛くないだろ?

いいか。大学出て10年も経ったら可愛い奴なんていないんだぞ。オヤジの甘えなんか気持ち悪いだけだ。困ったチャンにも、世代交代ってもんが必要なんだよ。


少年時代の感受性を持ち続けることと、学んだことを生かしてしっかりと道を踏みしめることは何ら矛盾しない。武道への思いということで言えば、私は少年時代以上にその思いは強くなっている。


まー、私なんかは武道やってようやっと人並みになったって言う部類。本当に困ったチャンだったからなー。


先般ボコボコに書いた友人達も、本当のところ、私なんかよりよっぽど性格が良くて人に愛されるナイスガイだ。


それだけにもったいない。またぞろ千葉周作先生の言葉を借りれば「自分の価値というものを分かっていない」ということになる。


また時間作って一緒に稽古したいねぇ。。。