我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

ちょっとした贅沢

和栗のモンブラン&珈琲


100年に一度の不況とやらで、私の会社もご多分に洩れず経費削減の大号令が鳴り響いている。

小山⇔東京間での出張も、最近ではローカル線で行け、という訳のわからない数字上の辻褄合わせが始まってしまった。残業も規制されているゆえ、ローカル線で小山⇔東京を往復するとなると、東京で午前中の会議に出たら一日がほぼつぶれる。

馬鹿な話だ。俺の時給がいくらになるのか計算できないわけではなかろうに・・・。

そんなわけで、昨日の本社への出張は宇都宮線で出かけた。通勤時間帯であるので、東京ほどでは無いのだが、座れるかどうかは微妙だ。

まだ膝が治りきっていない私に、上野までの立ちっぱなしはきつい。おまけに混雑時に普通車両では、朝飯用に用意した握り飯も食えない。グリーン車の料金はたった950円だ。まようことなくグリーン車に乗る。

がらがらのグリーン車は凄く快適である。足を伸ばして座り、握り飯を食って上野までの80分、朝寝を愉しむ。普通車両では、こうは行かない。

ゆっくりと体を休めた甲斐があり気分は最高、頭も冴えている。会議はスムーズに進んで言いたいことも好きなだけ言った。

昼に会議は終わり、昼食を食って午後一時。これから急いで帰っても工場に着くのは3時過ぎになる。駅からのタクシー代をかけても働けるのは2時間半。バカバカしい。ここでも迷わずに直帰することにした。

そうと決まれば急ぐことはない。床屋に行って散髪し、珈琲でも飲むことにした。

以前よく行っていた店で和栗のモンブランブレンドコーヒーのセットをたのむ。絶品だ。きれいなおねーさんに勧められるまま、珈琲のお代わりまでして、しばしくつろぐ。

小山に着いたら家内に迎えに来てもらい、そのまま愛犬大和号と散歩に出かける。時間があるので普通の散歩ではつまらない。車を出し、間々田の八幡様の近所の田園地帯まで出かける。

夕暮れ時の田園地帯は実にすばらしい風景。これまた贅沢な時間だ。三頭居る犬たちの中で、自分だけ“プレミアム散歩”に連れて来てもらった大和号、とにかくご機嫌ではしゃぎまわっている。

こいつは甲斐犬の雄であるから、運動量は相当に確保せねばならない。二頭の先住犬たちと一緒に散歩するだけでは足りないのだ。膝に気を使いながら、土手や田圃道を小一時間歩いて帰宅。

娘を剣道場に連れて行き、私は接骨院へ行く。経過は上々とのことながら、とにかくじっくりと直して行きましょう、とセンセイにくぎを刺される。

帰宅して体幹部と腕を繋げる筋力トレーニングを行う。これがなかなか効く。膝の治療で足腰に焼きを入れられない間は、この上半身トレーニングと椅子禅を中心に鍛錬だ。

直帰して時間が出来たおかげで、昨日はとても充実した一日だった。

今朝は、昨日の直帰のことで上司に軽い嫌味を言われたが、雄大な景色を楽しんで雄大な気持ちになっている私はあわてず騒がず、にこにこして「はい!午前に会議を終えてそのまま帰宅しました!」と朗らかに返答した。

今日の文章はなんだかまとまりが無いけれど、まぁ、あれだ。ゆったりとした時間を持てる、ということは凄く贅沢で素敵なことであるっつぅお話。小事を忘れてゆったり構えると気持に余裕が生まれるからね。

気持ちに余裕が無いと、武術をはじめ芸事なんて上達の見込みはないやね。