我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

現場

出張でさる地方都市の工場へ。雪が舞う中で、在庫品の保管状況についての確認と打ち合わせを行う。作業者の方に、色々とご意見を伺いながら今後の業務を考え直すのが目的。

寒いし足元も悪い。作業には若干の危険もともなう。私自身は普段はデスクワークが多いのだが、日々こういう現場での作業をなさっている方に感謝と畏敬の念を覚える。こうした方と仕事をすると、本当に勉強になる。

業務の効率化のためには、現業部門と同時に我々スタッフ部門も絶対に必要ではある。これは純然たる役割分担で、どちらがエライとかいうものではない。しかし、スタッフ部門はともすると現場の視点を忘れ、理に走る。現場を理屈に合せようとする。

当たり前だが、あくまで現場あっての理論なり議論でないといけない。

これは普段稽古・指導する太気拳についても同じことが言える。基本の立禅にしても這にしても推手にしても、何のためにやるかと言えば、一朝事あった際にわが身を全う出来る心身を獲得するためである。

高度な武術を体現するためには“理”も必要だろう。しかし、理のための理では単なる言葉遊びに過ぎない。技のための技も、また然り。

田んぼの下に“力”と書いて男。男はまず、強くなくっちゃいけない。強さとは、折れない心と「現場」での対応力だと思う。