我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

背負っているもの

秋の夜長で夜更かし中の鉄太郎です。東京に出かけるため、明日の日誌は書けないので、今の内に書いておくことにしました。

非公式ブログに、ささくれ立った心で日誌を書き込んでしまい、ちょっぴり鬱?な気分になっていたが、昔の知人からのメールを読んで、気力が充実して来たよ。

彼はプロボクサー。11年前、彼と同じ師匠に私は拳闘を教わって居た。知り合った当時、彼はアマボクシングの強豪選手。意志の強さが伝わる“目力”が印象的だった。

私のジム在籍期間は短かったので、彼とは挨拶を交わしたり、ちょっとした指導を受ける程度の付き合いだった。

今、彼は30歳を大きく越えているのにかかわらず現役を続け、夢に手が掛かるところまで来ているという。

彼の夢、それは稀代のテクニシャンであった恩師ですら、腰に巻くことの叶わなかった世界のベルトである。

“プロボクサー”という単語は、私にとって特別な輝きを持った存在だ。

視力の問題でリングには上がれなかったものの、空手修行時代にプロボクサーを夢見た時期があったのだ。

今の私には太気拳という宝物があるとは言え、“プロボクサー”という言葉を聞くと少年時代の届かなかった夢が、リフレインする。

年齢的に、彼に残された時間はそうは多くない。晴れの舞台には、駆けつけたいと思う。力の限り、声の限り、感情の限り、応援したい。

俺の届かなかった夢を、勝手に彼に託す。リング上でボクサー達が輝くのは、リングに上がれなかった皆の夢や想いを、背負っているからなのかも知れない。

ガンバレ!!