我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

今回の『月刊 秘伝』の巻頭特集は良かった。

題して「海が育てた手(ティ)の国〜本土に伝わらなかった武の核心とは〜」。

内容は沖縄伝統空手の取材とその考察なのだが、武の伝承、もっと大きな見方をすると、固有文化の伝承がいかに難しいか、という事を改めて考えさせられた。

民族固有の文化の伝承はなぜ難しいのか?それは“民族の血”の壁が立ちはだかるゆえである、とかつてジャズ奏者でもあった取材者の日野氏は語る。

これは空手にも全く同じことが言えるだろう。余程の事がないと、沖縄空手がそのままの精神で本土に伝わる、ということは無いだろう。バックボーンとなる血が、精神が、文化が異なるのである。

翻って太気拳なのだが、これとて澤井先生によって日本に持ち込まれた以上、日野氏にとってのジャズ同様、武の核心は保持しつつ独自の発展を遂げて行くことだろう。
(鉄)