我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

子供がかわいそう

大型連休最終日ともあって、今日の稽古は家内と二人だけ。雨天ではあったが、幸い体育館の剣道場を借りられたので、昨日習った身体トレーニングの復習と、太気拳の基本をみっちりやることが出来た。

剣道場の半面は親子数組で新体操の練習をやっていた。5歳ごろの子供に親が稽古をつけているのだが、どうも教室で習った内容の復習と競技会のための自主練習といったおもむきだ。

他人のことはあまり言うもんじゃないけれど、これがまたセンスがない稽古を子供に課していたのだ。

親自身が体操なんてやったこともないのが一目で分かる動き。「胸をピッと張るのよ!」「もっとピシッ!と動かないと!」「今のチャーチャーチャーンチャンチャン(音楽の口真似)でターン!と決めるの!」なんて見本も見せず座ったまま口で言うだけ。

せめて“胸をピッと張る”見本とか“ターンと決める”見本を見せたれや!あんたらのは何も言っていないのと同じだぜ!?教則本でもくれたら、俺の方が上手く教えるわい。休日に練習させるのなら、せめてキチンとしたコーチつけたらいいのに。

子供たちの表情もなんとなく暗い。きっと最初はともかく、今は体操が楽しくないのだろうな、と感じた。親の欲目で、感動のない稽古やらされているんだから。

本質的な上達の原動力は、本人の身体内から湧き上がってくる感動である。それが、果てしなく奥深い芸道を歩ませるのだ。親自身が感動に突き動かされて道を歩んだ経験がないのだから、子供に何を伝えるというのだろう。

決め付けで悪いけど、きっとあの親たちは競技会なんて子供の品評会くらいに思っているのだ。あの年齢から感動も伴わない強制練習。子供がかわいそうである。