我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

功夫(ゴンフー)とは何か〜その2

前回(だいぶ前になっちゃったなぁ・・・汗)「身体が受信した情報を、心が正しく認識する。そして、間をおかずに最善の対応を実行に移す。それが常に出来れば、もはや戦いにおいて後れを取るということはなくなるであろう」と書いた。(功夫(ゴンフー)とは何か〜その1:http://d.hatena.ne.jp/superbody/20161023 )

現代の達人と目されるある方(武道家)とご一緒した際に伺った事を思い出す。
「3〜5歳の子供は皆、気配を察する直感力を持っているよ。自我が育ってくると衰えちゃうけれどね」
「自己を開放し尽くして、子供のごとく赤心となれば良い。そこから元の立ち位置にかえれば、子供の直観力と大人の知力を兼ね備えることが出来る」
その方のいわれる「自己開放」の方法論は危険性を伴うモノなので実践していないが、言われていることの本質は正鵠を得ている。

利害得失を中心に据えて生きる我々が身・心・霊一如になれないのは、前回書いたとおりである。社会で生きて行くためには、理性・知性を働かせて対象に働きかける行為が必要である以上、これは仕方ない。
そしてまた、主体的に対象に働きかける行為があればこそ、理にかなった技法・技術(我々にとっては武技)が創出できる。さらに「工夫」を積み重ねることによって、技術の進歩をもたらすことも可能だ。

剣術家の太刀捌きにしても、拳術家の打拳にしろ、柔術家の抑え込みにしろ・・・子供の直観力と本能からは生まれてこない。対象の表面的な部分(例えば拳法の突き蹴り)に着眼してがむしゃらな稽古をするだけではなく、その本質(前提となる状況と、求められる運動の構造)に分け入って考究し、動きの質を改善していく必要がある。

動きの質が改善されるとはすなわち、効率が良くなるということだ。効率とは、働きかけに対する成果、インプットに対するアウトプットである。例えば同じ体重70キロの人間が同じように突きだした拳が当たった時、片や相手を痛がらせる程度に終わり、片や大の男をダウンさせる。どちらが効率の良い動きなのかは、言うまでも無い。
格闘技や武術に取り組む方はよく分かるだろうが、体格・年齢・筋力などが変わらない場合、素人と武を心得た者では勝負にならない。ところが・・・技を身につけることで生まれてくる新たな問題がある。学んだ技・方法論に対する「囚われ」「固定観念」である。すなわち、前述の「心が嘘をつく」状態である。

坂本龍馬暗殺の実行者とされる京都見廻り組・今井信郎直心影流)のいう「真剣勝負においては、免許や目録を得た者を斬るのは容易」との発言の真意もそのあたりにあると思う。

今井が学んだ直心影流剣術「後来習態の容形を除き、本来清明の恒体に復する」という至言がある。次回以降はそこに触れて行きたいと思う



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 中国拳法の流れを汲む武術。創始者澤井健一が立禅と命名した「ただ立つだけ」の独特の鍛練法を核とする。

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