我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

交流

伝統・正統ってなんだろう。

少なくとも武術においては「伝統」や「正統」を標榜する技も、現代において通用せねば、意義は薄い。伝統や正統、師系に重きを置くのは良いのだが、そこに胡坐をかいている暇は一瞬たりともない。ゆえに太氣拳という軸は保ちつつ、自分の殻に閉じこもることなく(信頼できる方であることが条件ではあるが)他と交流する機会を持とうと考えている。

自由攻防を稽古しているようでも、閉ざされた系の中だけで稽古していると一種の予定調和が生じる。太氣拳と言えども、残念ながら例外ではない。武を現実に即したものとするためには、思考を柔軟に保ち多角的に物事を「観る」ことが求められる。

他の流派どころか武術ですらない他の分野を観ることで、感性を深化させることが出来る。交配をしてこそ遺伝子は強くたくましく生き残っていく。私の分野で言えば、他流の技術と触れ合う事で私の太氣拳は(外見は変わらずとも)進化して行く。

クローン動物はひとつの細胞の核から個体に発生した動物であり、生まれた子は核を提供した動物と全く同じ遺伝子を持つ。そしてクローン動物は通常の繁殖で生まれた個体より老化が早く、圧倒的に寿命が短い。武術・武道にも同じことが言えるような気がするのは、私だけだろうか。正統・正伝を標榜することが武のクローン動物化につながらないよう、武に携わる者は留意せねばなるまい。

昨日参加させて頂いた『掛け試し稽古会』や当方主宰の組手稽古会では、肉体的ダメージは最小限に抑えながらも緊張感を伴う立合いの数をこなす中で、試行錯誤を繰り返す。いわば進化のために自分をさらけ出して行く場、とも言える。

自由攻防の中で自分を進化させるためには、コントロールと想像力が必要となる。体をぶつけ合う組手でありながら、結構、知的な作業だったりするわけで、私の場合、出来ていない処=意識が疎になっている処だと考えて、日々の立禅・這・練・・・にフィードバックする。

ダメージを与え合うガチンコ組手では、取りこぼしが無いように得意な型で戦うしかない。それはそれで大事だし理に適ったことではあるが、それだけだと組手を行う事で幅を広げることにはつながりにくい。また、心が最初から強い人には良いのだが、恐怖感から組手を避けるようだと、単独で行う基本稽古がそもそも生き生きとしたものになり得ないのではないか、と感じる(ガチンコ組手もかなりの回数やった上での感想です)。
現代社会で存在感の光を放てる武を、発信して行きたいと思います


太氣拳尚武館は、太氣至誠拳法(太氣拳)を学ぶ武術・武道の道場です。武道初心者はもちろんのこと、武術・武道・格闘技で伸び悩んでおられる中級者以上の方も歓迎いたします。また、護身・健身(健康づくり)目的の方の参加もお待ちしております。稽古会場:小山市栃木市宇都宮市上三川町詳細は:http://taikiken-tochigi.jp/practice/
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太氣拳とは>
 中国拳法の流れを汲む武術。創始者澤井健一が立禅と命名した「ただ立つだけ」の独特の鍛練法を核とする。

太氣拳とは(詳細版):http://taikiken-tochigi.jp/taikiken/

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