我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

体得

私は武道の現代社会における存在価値のひとつに、「体得」のプロセスを学ぶことがあると思う。

実践を通して知識が智慧にまで高まる過程を経験することが出来る。指導者や道友とともに「体得」のレベルを検証し、自分の心身の偏りを正す。武術の修練を通した人間形成とは、なにも意味不明な理念を持ち出して崇め奉ることではなく、こうしたシンプルで汎用性があることではないか。

悲しいかな、人間、知識を覚えることは簡単でも、それが知恵⇒智恵、さらに智慧となるには、一筋縄ではいかない。知識を学んでも、多くの場合アタマで理解して終わり。学びが行いの向上・改善につながる人は稀である。

武術でいえば、知識を得た段階というのは、動作の形・順番を知ったというレベルでしかない。すなわち「技化」していない。動きに魂が入っていない。

かりに波風が立たない状況下であれば、なんとかその技の形を取ることが出来るかもしれない。しかし、相手が攻撃してくるという「負荷」を掛けた瞬間に、習い覚えた形などどこへやら。あわてふためいて、攻撃から逃げるのが精一杯。とても反撃など出来る状態ではない。

自由意志を以て攻撃を仕掛ける相手と向き合う状況下で、自分を見失わず、適切に体が反応する。すごく難しいことのようであるが、理に適った指導を受け、トライアル&エラーを繰り返せば、誰にでもある程度は可能なことだ。そして出来ないことでは無く、今できていることにフォーカスして自分の変化・向上を愉しむ。

自分の中に潜む「可能性」との出会い。そんな瞬間を体験すれば、面白くて止められなくなる。指導者の力量は、生徒にその状態を体験させてあげられるか否か、というところにあるのだろう。


太気拳至誠塾栃木支部は、太気拳を学ぶ武術・武道の道場です。武道初心者はもちろんのこと、武術・武道・格闘技で伸び悩んでおられる中級者以上の方も歓迎いたします。また、護身・健身(健康づくり)目的の方の参加もお待ちしております。 HP:http://taikiken-tochigi.jp/

太気拳とは>
 中国拳法の流れを汲む武術。創始者澤井健一が立禅と命名した「ただ立つだけ」の独特の鍛練法を核とする。

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