我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

大人の週末 その1 (鉄)

3月3日、一家で茨城県水戸市に出かけた。

市内の喫茶店・紅茶館で行われる津軽三味線の奏者・踊正太郎(よう・しょうたろう)氏のライブを、楽しむ為だ。

土曜日だというのに、朝7:30出発。国道50号線で笠間まで行き、北関東自動車道友部ICを目指す。常磐自動車道を水戸ICで降りて大工町方面に向かう。

ライブ開始は10:30だが、少し早めの9:45頃に会場入り。

会場の紅茶館は入り口から受ける“小さなお店”という印象とは異なり、奥行きがあってなかなか広いお店だ。街の異文化交流センターの趣がある洒落た店内。

土曜に早く起きる習慣の無い小生、少しだけうたた寝をする。出発は7:30でも、出発前に立禅を組むためには、6時過ぎには起きなければならない。

小生は普段、武術と食い物のことばっかり考えている無骨者である。音楽にもかなり不案内である。そんな小生が、なんで津軽三味線なのか。

尊敬している佐藤嘉道先生のご著書『心に響く言の葉』(気天舎)に、本名の進藤正太郎としてその名を見つけた。

そのなかで、当時高校生であった彼が語ったという一言「実力をつけるのに急ぐ必要はありません」が妙に心に残った。こんな人が奏でる音を聞いてみたい、といういわば人間への興味から腰を上げた。

最初はがらんとしていた店内も、開演時間が近づくにつれ、賑やかになってくる。70人以上は居るであろうか。いよいよ始まる。

テーマは“紅(あか)の響き 〜雪解(ゆきげ)の津軽を想う〜”。叩き撥、そして定番の津軽じょんからと続く。

全盲の三味線奏者・踊正太郎のライブは圧巻だった。朴訥な喋りながら、内に秘めた熱い情熱とたくましい生命力を、その演奏からは感じ取れた。

(つづく)