我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

対刃物技法の稽古について

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あの事件から14年経ったのですね。犯人を取り押さえた萩野警部補、その勇気と技量は本当にすごいと思います。
お巡りさん界隈では、暴れるシャブ中を三人で無事抑え込んだら「良い仕事した!」ということになるそうです。
容疑者確保の際に大怪我させてはいけない、という縛りがあるとはいえ、正気失ってリミッター外れた人間は手強い、ということです。

そんな人間が刃物まで手にしていたらどうなるのか?
犯人を取り押さえた萩野さんの防護服に、ナイフで切られた箇所がありました。警棒をもって立ち向かったプロが「防護服がなかったら、今ここにいない」と語っているのです。世の中の護身術の先生に訊いてみたい。

護身を謳う道場で短刀捕り稽古していますが、どういう意図と前提のもとに稽古されていますか?

私の道場でも短刀捕りの稽古は行います。ナイフ一本持たれただけで徒手格闘、ましてや競技前提の技術とはまったく前提が違う、ということを、知識ではなく経験を通じて知っておく必要があるからです。

心理面でもまったく異なります。これは刃物を持つ側にも言えることで、相手の心理状態で行動も変わります。決して褒められたことではないと思いますが、私は何度か刃物を持った人間に対峙した経験があります。言葉がけや心理誘導だけで格闘せずに収めたこともあれば、無傷で制圧したこともあり、また、斬られたこともあります。

刃物手にした人間相手の格闘に入ったら、私のケースでは両者ともに無傷、ということはありませんでした。それぞれの戦局に応じた対応法もあるにはあるのですが、読んだだけで真似するバカの行動まで責任取れませんので割愛します。

私個人の見解としては、「無刀取りの稽古は、現実の一端を知らしめる、ということには意義があります。だけど素手で立ち向かう方法を教えるという趣旨で行うのは愚の骨頂!」です。

無刀取りを稽古する以上に、
1、危ない人物や状況に近づかない
2、運悪く近づいてしまったら、素早く離脱する
3、離脱できないとして、身近なものを利用して加害者の心身を迅速に無力化する

、、、ということを優先するべきで、逃げられないし武器になるものがない場合、仕方がないから素手の技術、という順番になる。

私自身、何度か経験して多少斬られただけで済んでいるのは「幸運」だったとしか言いようがなく、技術があるから大丈夫、などとは考えていません。

俺は逃げ足速い、とかいう人いますが、身体能力低いうえに戦ったことないやつがそんなウソ言ってもだめですよw。やばい状況下で心身膠着状態になることは結構あるんですから。

私自身も足は相当に速いほうでしたが、いまはオジサンなので走力も落ちました。必ずしも逃げられるとは思えないので、出かける時には特殊繊維の防刃用手袋を持参しています。

まして女性に約束稽古で思い切り「受け」を取って技を成功させて「できた気にさせる」のは、いかがなものでしょう?それよりも身近にある硬いものぶつける方法を教えてあげたらいいのに、なんて考えています。

巧言令色鮮し仁、という言葉がありますが、道場生をおだてるだけでは、一時的にはいいとしても身につけるべきものが身につかなければ、かけていただいたお金も時間も体力も、、、無駄になるだけです。

来てくださる方が、長い目で見て良い方向に向かうようにサポートしたいものであると感じます

 

  太氣拳尚武館は、太氣至誠拳法(通称・太氣拳)を学ぶ武術・武道の道場です。武道初心者はもちろんのこと、武術・武道・格闘技で伸び悩んでおられる中級者以上の方も歓迎いたします。また、護身・健身(健康づくり)目的の方の参加もお待ちしております。稽古会場:小山市栃木市宇都宮市上三川町。神戸市(支部)詳細は:http://taikiken-tochigi.jp/practice/

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 中国拳法の流れを汲む武術。創始者澤井健一が立禅と命名した「ただ立つだけ」の独特の鍛練法を核とする。

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