我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

足腰と胴造り - 試論「マイク・タイソンの打法」

ボクシング を格闘競技としてではなく、喧嘩の流儀のひとつとして捉えるとして。

究極のボクサーを一人「だけ」挙げるとすれば、やはりマイク・タイソンだな。

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あの天才ボクサーは、他のボクサーと打拳の仕組みが違う!!!・・・という解説と実技を、本日の稽古ではやってみた。

タイソンの打拳の威力と連続性は、私の解釈では地と張り合う足腰と「胴造り」に、その秘密があるように感じる。

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もちろん、持って生まれたフィジカルの資質とか、猛烈な鍛錬だとか、体重移動などの技巧だとか、他に様々な要素がある。しかし、あの打拳は独特の仕組みが生み出すものである!と感じる。恐らくではあるが、タイソンにオーソドックスな腰を回す打拳を教え込んだら、弱くなる(だろう)。 

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なんとなれば腰を回すと、あの打法に不可欠な「胴造り」が失われてしまうからだ(違うメリットがあるので、一概に良し悪しは断じない)。

身体を大きくひねる打拳は、同じ体重の者同士が打撃限定で戦う場合には有効だ。比較的簡単に手打ちから脱却できるし、リーチも伸びる。しかしながら無差別級であるヘヴィ級において小柄なタイソンが、多少リーチを長く使ったからと言ってどれほどのメリットがあるというのか?少なくとも私には(以下自粛)。 

さて、大地と張り合う力は、我々の武では「上下の力」ということになる。そのうえで胴造りが決まると、そこに「前後の力」が加わり、打拳に威力が出るのはもちろんのこと、身体そのものに勢いが出る。これぞ「姿勢」だ。

そこにいる「姿」そのものに「勢い」がでるので、打拳にしても目に見える「振り幅」を大きくとらずとも、中の動きが外に現れることとなる。すなわち、準備時間が少ない打拳となる。

因みに、打撃格闘技をやった人の殆どが行う「ある所作」が、胴造りを壊して「もろい身体」にしてしまうことも、本日の稽古で検証できた。

という講釈を垂れて、さまざまな角度から力を検証し、二人組でのミットの打ち込み、木刀の素振りで稽古を終えましたとさ。

合宿に参加した二人は、さすがに上下の力についてかなり認識が厳しくなっていて、それが打拳にも顕れていた。上述のような身体の構造を理論的に作るのが、立禅における大きな役割の一つであると、私は捉えている。 

こういう「ちょっとしたこと」が、年月を重ねると大きな差になる。日々、怠りなく稽古を積んでいきたいと思う。

 

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