拳客商売
近ごろの世の中は戦の恐ろしさが消え果たかわりに
天下泰平になれて生死の意義を忘れ、人それぞれが恐ろしいことを平気でするようになった・・・。なればこそ油断は禁物ということよ。
(劇画版 『剣客商売』金貸し幸右衛門)
最近、池波正太郎先生の『剣客商売』にハマっています。池波正太郎氏がなくなってから30年近くになりますが、人情の機微や人生の本質を突いた描写は、色あせることがないように感じる。
高次元の存在であるかの如くみえても。生き物であるがゆえに、人間も闘争本能を持っている。天下泰平はありがたいことではあるが、平和な世の中においては、闘争本能を発揮する場がない。
抑圧された本能や欲求というものは、適度にガス抜きしてやらないと、時としてゆがんだ形で噴出するものだ。
また、人間は主体性を獲得した代償として、本能が壊れるという宿痾を背負っている。
例えば金銭や権力に対する強烈な欲求などは、その一例だ。社会的な成功を得るために必死で努力する。時にはその道に立ちふさがるライバルを蹴落とすために、卑劣な策を弄することも、多々ある。
自然界においては策を弄してまでライバルを蹴落とす生物はいない。力と力の勝負をして、負ければ身を引くのみ。同種での殺し合いも皆無に近い。ゼロとは言えないが、人間ほどではあるまい。
本能が壊れているならば、意図的にそれをただす必要がある。
武道の社会的な役割の一つに、本能と理性の統括があるように思う。生死の意義を、命あることの尊さを、稽古を通して心身に染み込ませて限りある生を充実させる。そのような場として、道場を運営していきたいと考えています。
我が「拳客商売」の道を、誇りをもって歩み切る所存なり。
太氣拳尚武館は、太氣至誠拳法(通称・太氣拳)を学ぶ武術・武道の道場です。武道初心者はもちろんのこと、武術・武道・格闘技で伸び悩んでおられる中級者以上の方も歓迎いたします。また、護身・健身(健康づくり)目的の方の参加もお待ちしております。稽古会場:小山市・栃木市・宇都宮市・上三川町。神戸市(支部)詳細は:http://taikiken-tochigi.jp/practice/
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<太氣拳とは>
中国拳法の流れを汲む武術。創始者・澤井健一が立禅と命名した「ただ立つだけ」の独特の鍛練法を核とする。