我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

武における立禅の効用〜その1

相手が何かしようと近づいた場合には、必ず右手か左手で「何ですか」と間合いをとる必要がある。そのまま立っていると、接近しすぎて、相手がいきなり攻撃してきた場合にはぜったい防御できない。
(佐藤嘉道『拳聖 澤井健一先生』)

先日の就労セミナー「立禅講座」の武術コースのなかで、不審者の接近を防ぐための身心の操作をお伝えしました。
具体的な動作としては、上述の「何ですか」と間合いを取るというシンプルな動きです。

本格的に武術・武道を学ぶ場合はいざ知らず、初めて「武」に触れる方たちを対象に、限られた時間で役に立つ動きを覚えていただこうとすれば、当然、シンプルな動きになるしか、ない。

ただ手足を出せばよい、というものではなく、間を制するもしくは外すことが出来なければ、単なる体操です。大事なことはトラブルの回避であり、自分の身を危険にさらさないこと。そのために適切なタイミングで心身を働かせて、動く。右手右足もしくは左手左足を前に出して接近する相手と間合いを取るだけの、単純極まりない動きですが、相手を付けて行うと、意外と思い通りにはできないものです。大方の受講者さんは、手だけ出て足が出なかったり、手足が逆に出たり、と苦戦されていました。
すなわち、動作は覚えればOKというものではなく、いかにしてアウトプット(出力)につなげるかという問題を解決せねば、役に立たないということなのです。そこで皆さんに立禅で学んだことの要点を思い出していただき、再トライしてもらうと、ほとんどの方がいい感じで間を外すコツをつかまれたようでした。

思い出していただいた要点とは
・足の裏から頭のてっぺんまで認識して「意」を通す
・「気」ではなく「氣」
・上肢の骨格構造が生み出す力
・体の質量を識る
・・・といったことです。

不審者が接近してくるという緊迫した状況下で適切に動ききるには、上述の通り出力するための能力が肝要であり、立禅はその能力を培うのにもってこいの修養です。最近、我が意を得たり!という文章をみつけましたので、ご紹介しておきます。

昔の武士がなぜ禅寺にこもって修行をしたのか。なぜ剣禅一如などという言葉ができたのか?〜中略〜
武士達にとって、座禅は出力訓練だったのだ。禅の極意とは、自己をあるがままに、客観的に見る認識力の養成である。〜中略〜
古武術と同じく、武道の悟りを得るための禅も、骨董品のように扱ってはもったいない。出力練習には欠かせない自己の認識技術であると言える。(山田英司合気道中国武術はなぜ強いのか』)

ところで、山田さんの文章では「座禅」になっておりますが、私としては当然、立禅をお勧めします。その理由は・・・稿を改めます。


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 中国拳法の流れを汲む武術。創始者澤井健一が立禅と命名した「ただ立つだけ」の独特の鍛練法を核とする。

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