我が拳客商売

拳の研究・指導を生業に据えての世渡りの中で起こる悲喜こもごもを、筆の赴くままに書き綴っております

心身一如

人間は、心が空虚な時に、予期しない変化が生じると何も対処できない。身体が硬直してしまったり、腰を抜かしたりするものである。
(佐藤嘉道『拳聖 澤井健一先生』より)

日本を元気にする太氣拳の伝道師・島村尚武です。

太氣拳の日曜稽古会の相対練習で「短刀捕り」を行いました。

稽古会で行っておいてこんなこと言うとぶっ飛ばされるかもしれませんが、こうすりゃ刃物による攻撃を捌ける、というようなムシの良い技は、ありません。これは私自身、対ナイフを稽古ではなく路上&屋内で実践せざるを得ない場面が複数回ありましたので、断言させて頂きます。
詳細は割愛しますがどのケースも制圧もしくは危機的状況を回避しています(だから今があるわけで)。しかしやはり多少斬られていますのでそのとき大事に至らずにすんだのは、単なる幸運だとも言えるでしょう。

短刀捕りの稽古そのものに関して言えば、技が使えるか否かも大事ですが、それ以上に大切なことがあります。それは、メンタルの問題です。上記のケースに関して幸運と言いましたが、牽強付会と我田引水を許していただけるなら、その幸運は腰をぬかさず動けたから呼び込んだ、と言えるでしょう。

そんなわけで稽古生には危機に際しても、最低限、腰をぬかさずに居られるメンタル、そして危機に際して居付かずに動ける身体と理にかなった動き(技)を自得して頂きたいと思います。

自己の身心をコントロールするには、自己に向き合う修養を重ね「生根」するしかないと、感じております。太氣拳で行う立禅では、まず心身の生根を学びます。いま風にいえば「グラウンディング」でしょうか。
世間では「心技体」と申しますが、心という見えないものから入るのではなく、体⇒技⇒心の順番に鍛えるのが良いと師匠からは教わりました。

禅の世界でも「調身」「調息」そして「調心」といたると聞いております。すなわち姿勢(体)、呼吸という運動の起点(技)を調整し、その土台の上に心が整う、と。一方で、内功の世界では「意気相随」という言葉があります。これは心理作用(意)が生理変化(気)を誘発する、という意味です。

いずれにせよ、心と体は一体であり、心を「心掛け」や「学び」だけで錬磨することは困難であると、すでに先達は喝破しておられます。

直截的には暴力でしかない「武」を現代社会で学ぶ意義は、単に護身という直截の損得勘定的な観点だけではなく、心身一如の修養にあると感じる次第です。そしてその修養のために学ぶ実技は天地の理法に即したものでなければなりませんので、指導の場に立つ者として一層の修行を積み重ねたいと思います。

<オープン参加の講習会&稽古会です>
 ・2/12(月・祝)開催『太氣拳講習会 in 多摩』:http://d.hatena.ne.jp/superbody/20180212
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太氣拳尚武館は、太氣至誠拳法(通称・太氣拳)を学ぶ武術・武道の道場です。武道初心者はもちろんのこと、武術・武道・格闘技で伸び悩んでおられる中級者以上の方も歓迎いたします。また、護身・健身(健康づくり)目的の方の参加もお待ちしております。稽古会場:小山市栃木市宇都宮市上三川町。神戸市(支部詳細は:http://taikiken-tochigi.jp/practice/
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太氣拳とは>
 中国拳法の流れを汲む武術。創始者澤井健一が立禅と命名した「ただ立つだけ」の独特の鍛練法を核とする。

太氣拳とは(詳細版):http://taikiken-tochigi.jp/taikiken/

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